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 4月の「お客様いらっしゃ〜い」彼氏へビジネススーツの贈り物

今月のお客様は、大阪市内でも比較的当店のご近所にお住まいのJさんです。
タイトル名の通り、当初のJさんのご依頼は「彼氏へビジネススーツを作りたい」ということでしたので私の方も
「ご注文をお受けするにあたっての窓口はJさん(女性)だけども、お話が具体化してきたらメンズ主体の大阪SHOPMASTERへバトンタッチした方が良さそうかな〜」なんて考えていました。
それにしても、彼氏へビジネススーツの贈り物なんてとても素敵なアイデアですよね〜。
最近では彼氏・彼女同伴でご来店される方や、カップルでそれぞれご注文頂くケースが多くなってきたのですが、
どうやらJさんの場合は、彼氏の好みを取り入れつつも、オーダー内容自体はJさんご本人で決められるみたいなんです。
一緒に時間を過ごしていく内に、相手のお好みもそうですが、段々と一番似合うのはどういうタイプのものなのかも知らずと分かってくるもんですからね。(いや〜羨ましい限りっす。
さてさて、いったいどういった内容のオーダーシートが送られてくるのでしょうか??

そして2週間後、Jさんからサンプル帳のご返却に併せて、オーダーシートと雑誌の切り抜きが1枚送られてきました。
何でもJさんの彼は、割合標準的な体型だけども、既製服では胸囲がきつかったり、襟回りのフィット感がイマイチだったりと色々と不満が残るようで、それで今回Jさんからの提案もあり初のオーダーに踏み切ったということなんです。
格好良いスーツを作るのももちろん大事ですが、それよりも第一にサイズ面でのご不満を極力解消できるよう努めることの方が大切ですからね。
その辺りの細かな気遣いも、長く一緒にいる彼女(Jさん)ならではだと思います。

サイズ面でのご相談は採寸の時にじっくり伺うとして、お送りいただいたスーツのデザインはというと....。

まず、スーツのイメージとして同封されていた切り抜きですが、比較的若い世代の方に多いシングルで3ボタンのスタイルでした。

切り抜きを見る限りでは、さほど変わりのないごくごくオーソドックスなスーツですが、クラシコ仕様や重ねボタン等、メンズでは人気のオプションが盛りだくさんです。
ちなみに、お選び頂いた生地はというと、REDA社のカラーストライプです。メンズではもうお馴染みの伊REDA社ですが、さすが国内のファッション各誌がこぞって取り上げるだけあって色柄も若い男性のトレンドを押さえたカラーストライプです。

私ももし彼氏にプレゼントをするなら、きっとこの辺りの生地をチョイスしますね。

生地の手配と今回のオーダーの見本になるようなスーツも準備し、後は来週のご来店を待つばかり。
すると、Jさんより
「採寸当日は自分のスーツもオーダーしたいので、彼の採寸後レディスの相談にも乗って下さい」
と何とも嬉しいご依頼を頂きました。
「お二人の良い思い出になるよう頑張らなくっちゃ!」

そして月末の土曜日の午後、Jさんと彼氏のお二人がお越しになりました。
当初予定していたのは、彼氏の方は大阪SHOPMASTERが担当して、私がその傍らでJさんのご相談をお受けしようという段取りでしたが、その日は土曜日ということもあって当然のごとく店内は大混雑で、SHOPMASTERも次から次へとお客様の対応に追われている状態....。
と言うわけで、ここは一発私の出番です!
もちろんこういったケースは少なくはなく、日頃からメンズのスタイルについては結構勉強していて(たまにSHOPMASTERのメールの代打ちなんかもします)
私の方でもある程度お勧めの仕様を考えていたので、そんなに慌てることなく割合スムーズにご相談をお受けすることが出来ました。

それでは、先にお送り頂いていたオーダーシートを元に、私からご提案した点について簡単にご紹介いたします。

☆基本デザイン☆
雑誌の切り抜きでは通常の3ボタンだったのに対して、お送りいただいたオーダーシートでは3ボタンの段返りのスタイルをチェックされていました。
レディースではあまり馴染みがありませんが、メンズの場合3ボタンにも色々とスタイルがあって、大きく分ければ、3ボタン2掛け・段返り・3ボタン中1掛けの3種類のタイプに分かります。
「え〜っ、同じ3ボタンでもそんなにあるの?段返りってなに〜?」という方の為にもう少し補足いたしますと....。

3ボタン2掛け>>>3ボタンの中では一番定着しているスタイルで、上2ツのボタンを留めるタイプです。
これは2〜3年前まで爆発的に人気があったデザインですね。
メンズでは当たり前のことですが、一番下のボタンは留めないのがある種のルールです。(←ちなみにこれは私もこの仕事をするまで知らなかったです。)

3ボタン段返り>>>アメリカントラッドなんかに多いスタイルで、襟のプレスの返り位置が丁度第2ボタン上に位置する為、実質第1ボタンが完全に襟の裏側に隠れてしまった、一見2ボタンのようなタイプです。
つまり、ボタンを留めるのは真ん中の1ツだけということですね。
細かなようですが、この場合第1ボタンのボタンホールは襟に出ている方が表になり、その他の3つボタン上2つ掛けや段返りとは表裏を逆にしてボタンホールを縫いつけます。

3ボタン中掛け>>>クラシコイタリアというイタリア的なデザインの人気向上と共にここ1〜2年最もトレンドとされているタイプです。
第1ボタンが完全に襟のプレスの裏側に隠れてしまっている段返りに対して、中掛けはプレスの返りが第1ボタンと第2ボタンの丁度中間ぐらいにくるため、第1ボタンを止めることも物理的には可能です。(とは言っても普通は留めないものなんですが...)
また、段返りと比べると第2ボタンの位置は少しだけ高くなるので、Vゾーンは2ボタンほど広くは ならず、また襟のロール感が胸囲の調整役にもなるのでシルエットが立体的でとてもスタイリッシュです。

このように、一口に3ボタンと言ってもメンズの場合はこのように色々とあるものなんですが、とりあえず段返りと中掛けそれぞれの見本服をご覧頂きながら、最終的には今一番多いタイプの中掛けに変更となりました。
あいにくレディースメインの工場では、段返りや中掛けのスタイルはお受けできないのです。(ゴメンナサイm(_ _)m)
... が、最近では、メンズの仕様を取り入れたワーク系のカッチリしたスーツがレディースでも人気の兆しですので、主にメンズメインで使用している工場でならバッチリ対応できます。

クラシコ仕様
メンズではお馴染みのお台場仕立て+本切羽+キュプラ裏地以外に、セットバックショルダー(肩線が後ろに向いたタイプです。)・上襟表地巻き伏せ・バルカポケットの他、内ポケットの玉縁部分を別表地を仕様したりと、とても上質&スーツの中側の部分まで趣向を凝らせた仕立てです。
これだけのオプションがついて、トータルで10,000円とはとてもお買い得ですね。
クラシコについてもう少し詳しく知りたい方は是非こちらをご覧下さい。

クラシコについて私からのご提案はというと....。
キュプラ裏地
>>>表地のストライプに合わせてブルーのキュプラを合わせました。
実はこの時私とJさんとで「ピンクやエンジ或いは柄裏でもありですよね〜」なんて盛り上がったりもしていたのですが、さすがにそれはちょっと....ということであえなく没になりました。

内ポケット玉縁
>>>キュプラのブルーに合わせて、タッタソールのブルー(Z480-2)
ほんの少しぐらいは遊び心も必要ということで、この案にはお二人ともとても乗り気でした。
後から東京SHOPMASTERに『この辺って凄く女性的だね!』と言われてしまった!?
一応SHOPMASTERからも誉めてくれたらしい?

D管止め&ポイントステッチ
>>>全体的にブルー系の色で統一させたいということで、当初はブルーや水色系をご希望されてましたが、同系色ではポイントステッチが余り目立たないという理由から、この辺りの色合わせはお任せ頂くことになりました。
身頃のステッチの糸色やキュプラのカラー等はお客様のお好みを最優先いたしますが、それ以外の細かな部分については、ある程度店側にお任せいただく方が良い場合もありますからね。
ちなみにどんな色を使ったかというと....それは出来上がりまでのお楽しみとさせて頂きます。ガクッ...おいおいここまで引っ張っといて内緒かい!by編集担当:吉村)

全てのデザイン決めが終了し、後は採寸を残すのみです。
さすがにメンズの採寸は私ではまだまだ未熟な為、接客中の大阪SHOPMASTERに代わりベテランの亀本さんに応援を頼みました。
上述の既製品でのご不満な点と、あまり今風のタイトではなく あくまでも標準のシルエットがご希望ということを亀本さんにも伝え、体型補正も含めしっかりと寸法採りをしてもらいました。

「ふ〜これでひとまず彼氏のオーダーは完了したぞ〜」

さてさて、続いてはJさんご本人のスーツのご相談です。
本来の担当のレディースということで、ここはいっちょ私の腕前の見せ所ですね。

まず最初に、今回のJさんのスーツのテーマですが...
Pコート風のダブルのパンツスーツ
>>>昨年の秋冬ぐらいからこのようなご相談をちょくちょくお受けするようになりましたが、いや〜やはりPコートはここ数年根強い人気ですね。
本来のPコートのように、打ち合いを左右どちらでも上前にできたり、アルスター風の襟はさすがに無理なのですが、ダブルのラウンドネックをベースにすればそれなりの雰囲気を出せます。
今までにも何回かこのスタイルでご注文頂いているのですが、出来上がりはアウターとしても充分活躍しそうな、なかなかお洒落な雰囲気で結構お勧めです。
ちなみにこの冬お作りしたPコート風のジャケットはこんな感じです。
基本のパターンは上記の案で決定し次は生地選びなのですが、Jさんのご希望は、紺色で比較的張りのある生地ということでした。
Pコート風のデザインということとシーズン性を考慮し、コットンの紺をお勧めしてみましたが、同じような素材のコートをつい先日ご購入されたようで、コットンではそれとかぶってしまうそうなんです。
それならば!と気を取り直して何点かある紺色の生地の中から、ウール100%の濃紺の生地をお勧めしたところ、色合いや表面感がとても好きな感じということで無事これに決まりました。
ちなみにその生地は、レディースの春物サンプルの中のウーステッドスーティングです。
この生地はウール100%ですが、少し粗めに織り込まれている分、通気性がとても良く夏場でも快適です。
また、フラットな表面感ではなくの杢調の織り柄が存在感と高級感を与えますし、何より生地に充分なハリがあるので春から初夏にかけてのパンツスーツに最適なんです!
そして、Jさんのパンツスーツは最終的にこのような内容に決定しました。
生地・・・ウーステッドスーティング(サマーウール濃紺)
基本デザイン・・・ダブルラウンドネック
>>>俗に言うステンカラースタイルのダブル版で、デザインや着丈次第ではカジュアルにもエレガントにも対応できます。
○腰ポケット・・・両玉フタ付  ○フロントカット・・・スクエアーカット
○センターベント  ○袖ボタン・・・3ツボタンで本開き仕様
○ボタン・・・水牛ボタン焦げ茶艶有り
>>>ジャケット単品として使用することを考えて、同色系や黒でもなくあえて焦げ茶色に。
紺×茶もなかなかお洒落な組み合わせです。
○パンツ・・・ノンプレスでややワイド風のシルエットに。



今回はカップルでのご注文ということで、お二人の良い思い出になるよう私の方でも思いつく限りのご提案をさせて頂いたのですが、
事前にお送り頂いたオーダーシートやスーツのイメージの切り抜きも全てJさんご自身がご用意したようで、
「メンズのスーツのことはほとんど分からなかったので、ヨシムラさんのホムペをくまなく見て勉強したんです」
という彼女の少し照れくさそうな表情がとても微笑ましく私も心を打たれました。
でも女性として男性ファッション誌を購入して研究するのもちょっと抵抗がありますし、当社のメンズサイトみたいなものがあると意外と女性も重宝するかも知れません。
どっちにしても、こんなにも思ってもらえるなんて、もの凄く幸せもの彼ですね〜。
さてさて、お二人の初のオーダースーツの出来上がりはいかに?
・・・皆さんも次回の『お客さま ありがとう〜』をお楽しみに〜!

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